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PRIDE vol.1 クリナップ取材

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2024.10.04更新
PRIDE ~暮らしをつくる者の矜持~ vol.1『日本の食卓を拓く機能美に迫る -クリナップ取材レポ』
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こんにちは!健康住宅インタビュアーの大塚です。 突然ですが、今家づくりを考えられているあなたへ質問です。 1件の家づくりに携わる業者数はどれくらいでしょうか? 正解は、約40~50社です。 基礎工事を担当する業者から始まり、最終的には完成した家を登記する家屋調査士やローンの手続きをする銀行など、さまざまな業者が関わります。 各業者が自分の仕事に誇りを持ち、その力を結集することで、ようやく1つの家が完成します。 健康住宅では、8月のリブランディングを機に『PRIDE ~暮らしをつくる者の矜持~』という企画がスタートします。 この連載では、住宅に関連する企業を取材し、歴史や技術、そして家づくりに対する情熱や信念をたっぷり紹介していきます! 第一弾の今回は、ステンレスキッチンや、機能にすぐれた製品が人気のある、クリナップ株式会社の福岡営業所長である藤田さんを取材させていただきました。
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藤田さん
こんにちは!クリナップ福岡特販営業で所長をしている藤田です。今回は皆様に弊社の信念をお伝えできればと思います。 -
大塚
初めまして!インタビュアーの大塚です。 この企画では、暮らしに関する企業さんを取材し、皆さんがどんな思いで家づくりに携わられているのかを深堀りします。 今回は日本の食卓文化に貢献されてきたクリナップを取材します -
大塚
1949年の創業は、座卓の製造が始まりとお聞きしました。なぜ座卓だったのでしょうか? -
藤田所長
創業者の井上登が、戦後の復興で国民全員が忙しい中、家庭内の「家族団らん」という時間を非常に大事にしていたようです。家族みんなで食卓を囲んでからご飯を食べることが大切だと思ってたからこそ、どこにも負けない座卓を作ろうとなったことが始まりだと聞いてます。 -
大塚
井上氏の強い想いから生まれたものだったのですね。では、座卓製造会社からキッチン製造へ転換した理由はなんだったのでしょうか? -
藤田所長
高度経済成長期に海外から安価で加工しやすいメラミンという材料が入ってきたことがきっかけでした。さらに、団地が増えていったことから流し台の需要が高まり、思い切ってステンレス製の流し台の製造にシフトしました。 -
1950年代から1960年代にかけて、日本は高度経済成長期に入り、生活水準が向上しました。都市化が進み、多くの人々が新しい住宅に住むようになりました。 この時期、アメリカやヨーロッパの影響を受け、日本でも効率的で機能的なキッチンが求められるようになりました。シンク、ガスレンジ、収納スペースが一体化されたシステムキッチンのアイデアが生まれ、調理や片付けの作業が効率化されました。 「システムキッチン」という和製英語はクリナップが発祥だと言われています。こうして家庭での使いやすさと機能性を大幅に向上させました。
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大塚
私もお客様にご案内する時に「クリナップのキッチンってステンレスが特徴なんですよ」と説明するのですが、藤田所長が思う製品の強みを教えて下さい。 -
藤田所長
弊社のステンレス加工技術は非常に優れており、健康住宅様にご採用いただいている商品も、この技術を駆使しています。一枚のステンレス板を折り曲げて箱状に加工しており、この技術を持つ工場で大量生産できるのは現時点でクリナップだけなんです。 -
大塚
クリナップのHPにある「HANDS MAKE SMILE」という動画を見させていただいたのですが、職人さんの手仕事で作られているのを初めて知りました。 -
藤田所長
機械ではできない細かい部分、例えばステンレスのラインや曲げ、溶接などは手作業で仕上げることで、高品質な製品を作り上げています。全てを機械で自動化することも可能ですが、私たちの「クラフツマンシップ」はお客様にとって最良かつ美しい商品を追求し続けることにあります。住む人たちの生活観も進化させるためには、職人の技が欠かせません。 -
大塚
量産や効率化が求められる今日ですが、創業当時から変わらないクラフツマンシップが根付いているのですね。では、どんなことを信念に製品開発をしているのですか? -
藤田所長
根底にあるのは使いやすさです。例えば、現在のステディアやセントロの引き出しの高さや奥行きについて、お客様がどのように使うかを考えました。何を収納するか、どのような高さのものを入れるかを考慮して、引き出しの最適な高さと奥行きを決めています。 -
実際には、モニタリングやプロトタイプを使って主婦の方々に試用してもらい、「こうした方が使いやすい」というフィードバックを基に製品化しています。企業の考えだけでなく、実際の使用状況を検証してから製品を作っています。
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大塚
最終的には、使う人にとって使い勝手が良い商品であり、なおかつ手頃な価格で提供できるようにすることに重点を置いているのですね。 -
大塚
藤田所長が考える、そういった信念がよく現れている商品はありますか? -
藤田所長
「流レールシンク」ですかね。シンクで使う水が野菜くずや油汚れを集めて、排水溝へと流してくれる親水路構造になっています。 この商品は、「排水溝がステンレスで一体成形だったら拭くだけで楽だよな」とか、「一般的によく使われる三角コーナーは、底がぬめりやすく、お手入れが大変で、一定期間使ったら捨てる必要がある」などの主婦の方の悩みをどうやったら解決できるかを考えて生まれたんです。 -
大塚
クリナップにとって「機能美」の魅力はどんなところでしょうか? -
藤田所長
全ての商品に共通しているのは、お手入れのしやすさです。多くのお客様は忙しく、時間がありません。少しでもお手入れの時間を減らすことで、睡眠時間を確保したいというニーズにとことん応えたいですね。 例えば、洗えるレンジフードや食洗機など機械的な部分だけでなく、シンクや排水溝、ユニットバスのフロアもお手入れが簡単にできるように設計しています。お手入れのしやすさを考慮し、製品開発に取り組んでいます。 -
大塚
「健康」についてはどのように考えていらっしゃいますか? -
藤田所長
クリナップでは、健康の観点からステンレスをふんだんに使った商品を提供しています。特に天板やシンクは、キッチンで最も重要な部分です。食事は健康にとって非常に大切な要素であり、食べることで元気が出ます。しかし、食中毒のリスクもあるため、食べ物を扱う際には衛生的な材料が必要です。そのため、私たちはステンレスが最適だと考えています。 -
大塚
クリナップが現在、業界を引っ張って取り組んでいるプロジェクトはありますか? -
藤田所長
クリナップでは、ミライキッチンプロジェクトという取り組みを進めています。このプロジェクトは、2019年に武蔵野美術大学との産学協同で始まり、昨年度にはプロトタイプのキッチンユニットを制作しました。 -
このプロジェクトの一環として、災害時や持ち運びが可能なシンクユニット、マークユニット、IHコンロユニットを開発しました。
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大塚
シンクユニットとありますが、食器などが洗えるのですか!? -
藤田所長
そうなんです。繰り返し水を提供できる循環ろ過器を搭載し、災害時でも安定した調理場を提供できるように設計されています。人生100年時代と言われていますからね。多様なライフスタイルにも合わせて次世代のキッチンを開発していきます。 -
大塚
では最後に、2050年のカーボンニュートラルに向けて取り組まれていることを教えて下さい。 -
藤田所長
クリナップでは、2050年までにカーボンニュートラルを達成するため、スコープ1(直接排出)とスコープ2(電気や熱、蒸気の購入による間接排出)の削減に取り組んでいます。まず、2030年までにスコープ1と2の排出量を2013年比で50%削減する目標を設定しています。 -
具体的な取り組みとしては、現在生産部門で使用している主なエネルギー源であるプロパンガスを、排出量の少ない液化天然ガスへ切り替えています。また、エネルギー使用量削減の一環として、2020年度に工場や事務所の照明をLEDに変更しました。さらに、太陽光発電設備を設置し、自家発電によるエネルギー供給を開始しています。 加えて、営業車を全てハイブリッド車に切り替えることで、移動に伴う排出量の削減にも取り組んでおり、カーボンニュートラルの実現に向けた多角的なアプローチを推進しています。
お話しを伺った人

クリナップ株式会社 福岡特販営業所長 藤田さん
インタビュアー

健康住宅インタビュアー 大塚
「家族団らんの時間を大切に」 座卓の製造から始まったクリナップの歴史

創業当時販売していた座卓

流し台1号


機能美に溢れるクリナップの商品

多様なライフスタイルに合わせた次世代のキッチン

対談を終えて
お家づくりは、様々な業者さんの力が結晶化したものです。アイデア、こだわり、技術、そして想いが一つに結集して、唯一無二の暮らしが生まれるのです。
「暮らしをつくる者の矜持」
それは、例えお客様から理解されにくい部分であっても、細部まで徹底的にこだわる姿勢。この点がクリナップと健康住宅で共通しているからこそ、長いお付き合いが続いているのだと感じました。
今回は第一回目としてクリナップ株式会社の藤田所長に取材させていただきました。
提供しているものがキッチンであっても、住宅そのものであっても、見えないところまでもこだわり続ける信念こそが、これからの住宅業界を明るく照らしていくのだと思います。
次回はTOTO株式会社さんへお伺いし、日本の衛生文化の向上に寄与されてきた熱意や信念に迫りたいと思います。
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