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vol.1 アクロス福岡編

2025.06.06更新

たてもの散歩 〜建築のこだわりを紐解く〜 vol.1『アクロス福岡 編』

    • こんにちは！健康住宅の広報 畑中です。 今回は、福岡の名建築を巡る、健康住宅広報の探訪記をお届けいたします。このシリーズを通して、皆様に福岡の建物のこだわりを分かりやすく紐解いてまいります。
    探訪したたてもの
    アクロス福岡　〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神１丁目１−１
    探訪者
    ブランド推進室 畑中 優希

    • 畑中

      こんにちは！健康住宅の広報 畑中です。 このシリーズでは、皆様が福岡で暮らす中で、
      日常的に目につく建物の新しい一面を知っていただいて、福岡をもっと愉しんでいただきたい！
      と思い、わたくし 畑中が実際に足を運んで、この目で見て体験してきたことをお伝えします。       今回は福岡の中心街、天神に位置する「アクロス福岡」を探訪してきました！👣 ぜひ、一緒に散歩をしている感覚でお楽しみください。
    　｜進化しながらも変わらない福岡の美しさ　
    • 九州一の繁華街「天神」。
      2015年から始まった都市再開発誘導プロジェクト「天神ビックバン」が2026年12月末に完成予定ということもあり、以前より一層にぎやかな街になってきました。
      その中で、1995年4月開業のアクロス福岡は都市と自然が融合した外観がなんとも印象的であり、少々異質に見えるにも関わらず街に調和している不思議な建物です。
      今回は、アクロス福岡を舞台にその美しさと素敵な一面を紐解き、併せて建築家であるエミリオ・アンバースの考えにも触れながら、より深く私達の街にある建物を探検してみようと思います。
    　｜都市に溶け込む緑のピラミッド
    • 福岡市地下鉄 七隈線 天神南駅の5番出口を上がって徒歩5分。
      天神の中心にそびえるアクロス福岡が見えてきます。 階段状の外観に豊かな緑を纏ったこの建築物は、単にオフィスや文化施設だけに留まらず、「都市の森」としての役割も果たしています。
    • また、文化とアートが融合した場所としても知られており、館内にはショップ、レストラン、カフェ、アートギャラリー、そしてイベントスペースが整備され、訪れる人々の多様なニーズに応えています。
    • 特に目を引くのは、館内の「イベントホール」です。
      ここでは、地元のアーティストによる作品展や、クラシックコンサート、演劇の公演など、福岡の文化シーンを牽引するさまざまなアートイベントが開催されており、アクロス福岡が提供する文化的な空間は、人々の心を豊かにする場所として愛されています。
    • また、アクロス福岡の中には福岡の美しい自然を感じられる屋外空間も広がっています。アクロス福岡の目の前に広がる天神中央公園では、季節ごとのイベントやマーケットが開かれ、訪れる人々に新たな発見と喜びを提供しています。ここから見える周囲の街並みは、アクロス福岡というモダンな建築物を背景に、福岡の豊かな歴史と文化を感じることができます。
    　｜建築デザインの魅力：環境と一体化する階段状の構造
    • アクロス福岡は、北側は都会的なガラス張りのオフィスビルである一方、南側は階段状のテラスに緑を配し、公園のような自然空間が広がり、その対比は見事です。
      このコントラストによって、建築そのものが「都市と自然の融合」を表現していることがわかります。 多くの植物たちが植えられたステップガーデンは、あたかも建物と公園が一体化したような雰囲気を醸し出しており、都市景観と調和しながら自然を提供する革新的なアプローチを示しています。まるで巨大な階段状の森林が都市の中に佇んでいるかのような光景が広がっています。
    • 晴れた日には、太陽の光が木々を照らし、ビル内には木漏れ日が差し込みます。コンクリートのビル内にいるにも関わらず、まるで生命が呼吸しているかのような不思議な感覚に陥ります。
    　｜ステップガーデンの役割
    • アクロス福岡の最大の特徴は、都市の中で自然を育む「生きた建築」であることです。建設前、この場所には「福岡中央公園」がありました。しかし、天神という都市部での再開発が求められる中、公園や自然を守るためのアイデアとして、「建物そのものを公園にする」というアイデアが生まれました。
    • そのコンセプトのもと、竣工時のステップガーデンには76種類の樹種が約37,000本植えられました。長い年月の中で樹木は成長し、鳥や昆虫などが運んできた新たな種が芽を出した結果、樹種は約200種類にまで増えて、常に鳥や昆虫が訪れる生態系が生まれています。また、都市のヒートアイランド現象を和らげ、周辺の空気を浄化する役割も担っています。植物の成長とともに建物の景観が時間とともに変化する点も、アクロス福岡ならではの魅力です。
    • このステップガーデンの頂上からは、天神の街並みと福岡を囲む自然が織りなす美しい景観を楽しめます。都市の中心でありながら、ここに立つとまるで別世界にいるかのような開放感を味わうことができます。眼下には賑やかな街並みが広がり、その一方で、周囲を囲む緑が視界を和らげ、都市と自然の共存を体感できる空間となっています。 また、アクロス福岡は公園と建物がシームレスに繋がっている点も大きな特徴です。ステップガーデンの下部はそのまま広場や緑地へと続き、建物全体がひとつの巨大な公園のように機能しています。都市にいながらも、ここでは自然に囲まれた時間を過ごせるのです。
    　｜建築家　エミリオ・アンバースの建築思想　
    • ここで、建築家エミリオ・アンバースの考えに触れてみましょう。
      アクロス福岡の構想を手がけたのは、アルゼンチン出身の「エミリオ・アンバース」。「グリーンビルディングの先駆者」と呼ばれる建築家です。
      アンバースは、「建築というものはみな植物の世界へと侵入していくものであり、自然に対する挑戦だと言えます。私たちは自然と建物を調和させるための方法を具体化した建築を創り出し、解きほぐすことができないほど周囲の環境と深く結びついた建物をデザインするべきなのです」と語っています。

      （Webマガジン「AXIS」編集部著「ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 イタリア館がエミリオ・アンバースの代表作を展示」
      『AXIS web magazineーNEWS 』、2021.05.27（https://www.axismag.jp/posts/2021/05/375967.html）、2025.3.20アクセス）」

      彼の建築作品は、非常にシンプルでありながら深い意味を持っています。
      彼は、自然との一体感を大切にし、建築が周囲の環境と調和することを重視しました。例えば、屋内外の境界が曖昧であり、自然光が建物内に美しく取り込まれるように設計されています
    　｜住宅にも取り入れるべき「シンボルツリー」の価値
    • アクロス福岡が示すように、建築と緑は対立するものではなく、共存することでより豊かな空間を生み出します。この考え方は住宅の外構デザインにも応用できます。 特に、シンボルツリーを採用することは、家の顔としての役割を果たし、住む人々に安らぎや癒しを与えてくれます。それは、住まいに個性と自然の潤いをもたらす重要な要素と言えるでしょう。

      お家のファサード(１)にシンボルツリーを家の前に配置し、自然と共生することで、季節の移ろいを感じることができます。春には花が咲き、夏には緑の葉が繁り、秋には紅葉で色づき、冬には枝に雪が積もる姿が、日々の生活に彩りを添えます。これにより、家全体がより温かみを持ち、住む人々にとっても家という空間が一層特別で大切な場所となります。
      (１)ファサードとは、建物の正面から見た外観やデザインのこと。建物の顔とも呼ばれる
    • また、シンボルツリーは環境にも良い影響を与えます。樹木は空気を浄化し、CO2を吸収して酸素を放出するため、健康的な生活環境を提供します。
      さらに、日射遮蔽(２)の効果で夏の暑さを和らげ、家の温度を快適に保つ手助けをしてくれるのです。
      (２)日射遮蔽とは、太陽の光や日差しを遮断する対策のこと。夏は涼しく、冬は暖かな快適な室内環境をつくるために重要

      都市部に建つ住宅でも、庭を作らずとも小さなスペースを確保して木を植えたり、ベランダや玄関前に緑を取り入れたりすることは可能です。
      アクロス福岡のコンセプト「建築と自然の融合」が、暮らしの質を向上させる鍵であることのヒントを、是非お家づくりにも取り入れてみてはいかがでしょうか。
    　｜まとめ　
    • アクロス福岡の高層階から眺めて感じる都市と自然の調和は、日常の生活に対する私たちの考え方にも影響を与えます。たとえば、シンボルツリーを住宅に採用することで、自然と調和した空間が生まれ、季節の移ろいを感じながら生活することができます。そして、エミリオ・アンバースの建築思想もまた、自然とのつながりを大切にし、素材の美しさを生かした空間作りを提案しています。これらの要素を取り入れることで、私たちの生活空間は、より豊かで心地よいものになることでしょう。

対談を終えて

都市と自然が調和する空間は、現代のライフスタイルにおいてサスティナブルの観点からも非常に大切な要素であり、私たちがどのように生活空間を設計し、自然と共生するかを考えさせられます。

庭やシンボルツリーを採用することで、家に自然を取り入れられ、私たちが毎日をより豊かで心地よいものにできることを改めて感じました。

また、エミリオ・アンバースの建築思想に触れ、そのシンプルさと自然との調和の美しさが、現代建築に与えた影響の大きさを実感しました。

この記事を通じて、福岡の魅力や建築について新たな視点をお届けできたなら幸いです。これからも、日常的に目にする建築物の新しい一面を知っていただいて、福岡をもっと愉しんでいただきたい！という思いを胸に、空間づくりや住まいの探訪を続け、心地よい生活空間の重要性を再認識しながら、皆様と共に福岡を楽しんでいきたいと思っております。

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